モグラはトガリネズミ目モグラ科に分類される小動物です。
体長は約100mmから150mmで、体色は黒または暗褐色をしており、鼻と手足はピンク色です。
モグラは、公園や田んぼ、庭園など身近な場所に生息していますが、滅多に姿を見ることはありません。
これはモグラが地下でトンネルを掘って生活するため、地表に出ることが少ないからです。
暗闇での生活が長いため、モグラの目は機能が退化してしまい、視力はほとんどありません。
この記事では、モグラのこれらの特徴や生態について詳しく解説しています。
モグラの目はほとんど機能していないのでしょうか?
モグラは地中での生活が主であるため、目には保護のための薄い膜が覆っています。彼らには確かに小さな目がありますが、地下の暗闇で生活するため、これらの目は光を感じる程度の能力しか持っておらず、実際の視力はほぼ無いと言えます。
このため、モグラの視神経は退化しており、水晶体や網膜の機能も限られています。それでも、彼らは微量の光を感じ取ることが可能です。
モグラが太陽光で死ぬという誤解について
モグラは光に非常に敏感ではありますが、太陽光が直接彼らに致命的なわけではありません。地上に現れることは稀ですが、モグラが太陽の光を浴びて死ぬというのは一般的な誤解です。
この誤解は、モグラが地上で材料を集める際に捕食者に襲われ、その結果として死体が見つかることが多いために広まったものです。つまり、太陽の光そのものが原因で死ぬわけではなく、他の自然の危険に晒されることが主な理由です。
モグラが餌を見つける方法について
モグラは視力に頼らずにどのようにして餌を見つけるのでしょうか? 実際、モグラは視力がほぼ無いに等しいですが、彼らはその他の感覚が非常に発達しています。触覚、嗅覚、そして聴覚を用いて効果的に餌を探し出しているのです。これらの感覚を活かして、モグラは地中での生活に適応し、食物を見つける能力を高めています。
触覚
モグラの鼻先にはアイマー器官と呼ばれるヒゲ状の構造があり、これにより地中の微細な振動をキャッチします。これによって、ミミズなどの餌の位置や距離を把握し、また、捕食者の接近を察知し逃避行動を取ることも可能です。
嗅覚
モグラの嗅覚は高度に発達しており、その鼻孔は独立して機能し、異なる信号を脳に送ります。これにより、モグラは脳内でこれらの信号を処理し、周囲の匂いを立体的に認識することができます。
聴覚
外からはほとんど確認できないほど小さいモグラの耳ですが、その聴覚能力は非常に高く、狭いトンネル内でも邪魔にならないように適応しています。音に対する敏感さにより、微小な音を捉えることが可能です。
モグラの地下トンネル掘り
モグラの前足は、シャベルのように幅広く発達しており、外向きにカーブしていることで土を効率的に掘り起こすことができます。その爪は鋭く、土を掘る作業に適しています。
モグラがトンネルを掘る速度は、1分間に約30cmと比較的遅いです。地下トンネルの掘削は大変な労力を要し、そのためには多くのエネルギーが必要です。モグラは自身の体重と同じ量の食物を1日で消費することがあります。
長時間、約10~12時間食事を摂らないとモグラは生存できないため、起きている時間はほぼ餌探しに専念しています。
地表に現れるモグラの巣の位置を知るためのひとつの目印は、地面に盛り上がったモグラ塚です。これは地下活動の直接的な証拠となります。
モグラ塚
モグラ塚とは、モグラが巣を掘りながら地上に排出した土の堆積物です。
モグラ塚が見つかる場合、その地点の直下には約50から70平方メートルの広範囲にわたるトンネルネットワークが存在している可能性が高いです。
モグラは自らの縄張りをマークするために、体から分泌される物質をトンネルの壁に塗り付けます。そして、これらの広範囲にわたる巣を単独で独占し、使用します。
モグラの食生活
モグラは基本的に肉食で、主にミミズ、昆虫の幼虫、土竜(オケラ)、ムカデなどを食べることを好みます。食べ物が不足すると10から12時間以内に餌を摂取しなければ生命を維持できないため、モグラは捕まえた餌を大量に蓄えます。
また、モグラの唾液には麻酔成分が含まれており、これによりミミズなどの餌をかみついて一時的に動けなくすることができます。この方法で麻痺させた餌は、巣内の貯蔵場所で約1から2ヶ月間保存することが可能です。
モグラの天敵について
モグラは地下にいる間はほとんど襲われることがありませんが、一旦地上に出ると様々な捕食者に晒されます。
特にヘビやイタチ、キツネ、ネコといった肉食動物や、ワシ、タカ、フクロウなどの猛禽類は、地上に現れたモグラを狙います。これらの天敵は、モグラにとって大きな脅威となります。
モグラをペットとして飼うことは可能か?
モグラは一般的にペットショップで販売されていない動物です。
もしモグラを飼育することを考えるなら、その地域の法律に従って適切な許可を得る必要があります。また、モグラは環境に非常に敏感で、特に温度や湿度の管理が重要です。
モグラは非常に多くの食事を必要とする動物で、自分の体重と同等の食物を毎日摂取します。約10~12時間食べ物がないと生命を維持できませんので、飼育する場合は常に新鮮なミミズなどの餌を大量に用意する必要があります。
また、モグラは本性が攻撃的であり、人間との親密な関係を築くことはほとんどありません。
これらの理由から、専門知識を持つ者でなければモグラの飼育は困難とされています。
モグラによる農業への影響
モグラは害獣とされることがありますが、彼らが直接農作物や芝生を食べるわけではありません。モグラは肉食動物であり、その被害は主に地下活動によるものです。
モグラが地下で掘るトンネルは、次のような影響を及ぼします:
- トンネルが植物の根の成長を妨げ、根がトンネル内に侵入することで植物の生育が阻害されることがあります。
- 土中の有益な生物であるミミズを食べることで、土壌の健康に必要な生物の数が減少します。
- 地表にモグラ塚が形成され、地面が不均一になり見た目が損なわれます。
- モグラの掘ったトンネルを通じてネズミが侵入し、農作物に被害を与えることがあります。
これらの理由から、モグラの活動は農業にとって複数の問題を引き起こす可能性があります。
まとめ
本記事ではモグラの生態に焦点を当てて解説しました。モグラはその大部分を地下で過ごし、そのため視力はほとんどありませんが、目は存在します。
地面に見られる不自然な凹凸や、畑や庭の地盤が柔らかくなっている場合、それはモグラの活動による可能性があります。モグラは通常、地中に生息しているため、一般の人が直接目にすることは少ないです。
また、モグラの中にはセンカクモグラ、エチゴモグラ、サドモグラなど、絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されている種もいるため、これらの種に対する保護の必要性にも注意が必要です。
モグラの問題を確実に解決したい場合は、専門の業者に依頼することを推奨します。このように、モグラは小さな生物ですが、その生態は地下での独特な生活に適応しています。